#1 Legacy side-A

TOURSの山本です。じっくり時間をかけて制作した1st フルアルバム「Legacy」が完成し、2月24日から配信スタートしてます。

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デジタルが森羅万象を司りつつある昨今、現実に手に取れる形で音楽をどう作り、残していくか皆一様に頭を悩ませてると思います。推敲を重ねた結果、僕らはカセットテープを作ることにしました。
中学生の頃はCDは買えど、結局は編集の出来るカセットでずっと遊んでいたので、自分としては原点に立ち戻った感覚があります。
このTOURSというバンドもシンプルに原点回帰を意識した音楽性だと思います。要は己の血となり肉となり骨となった音楽へ向き合い直したというだけなんですが。勝手知ったるオルタナティヴロックが新しい解釈で鳴らされている今、敢えて自分がそれをやる必要はあったなと思うわけです。
以下、簡単ですが私見強めの曲解説です。まずはカセットのA面から。

Longing
華々しく派手にものごとをスタートさせられないタチから生まれた曲。ライブのど頭に「バーンジャカジャカジャカジャカジャーン!どうも×××でーす!」みたいなバンドを心底憎んでいた。旧友である角谷翔平君(ex.soulkids、ex.the chef cooks me)に手伝ってもらい、彼の家で制作しました。Longingは「憧れ」という意味。

Parakeet
作った本人の意見としては別にこんなこと言う必要ないと想うんですけど、アルバムの顔となる曲だと思ってます。TOURSを代表する曲の中のひとつだと。短調の曲を作るのが苦手なんだけど、自分には珍しく、サビはマイナーコードでスタートしてます。しかもその直前の進行と同じになってるところが意外とミソかと。それとアウトロ前の静かな間奏で、ベースのコードがひとつ抜ける所とか割と気に入ってます。インコは非常に賢く、おまけに特有の匂いがするそうです。穀物やバターのような良い匂いなんだとか。鳥 is かわいい。

Neutrinos Nautilus
サビがすごく短い曲を作りたいという意志からスタートした曲。いわゆるサビが一瞬で、曲のタイトルをフレーズひとつやふたつで歌って終わる曲というのはメッセージも簡潔。往々にしてロックンロール。ちょっとだけ長めの尺になってしまったので、いささか本末転倒気味。

ドレスコード
見てくれを気にしすぎてしまう性分、いわゆる醜形恐怖症のようなものについて歌ってます。うまく心情や不安が曲に出たと思う。女性コーラスは僕の妻、星野ゆりが担当。サビにはRyo Hamamotoと中山洋平も参加。アルバム屈指の良アレンジメント。

Awe
メンバーの提言から、とある映画のプロットを元に詞を書いた。僕は映画をそれなりに観てるけど、その体験が音楽に活かせてなかったのは勿体なかった。ほんの少しでも人と繋がれるのは大層なことなんだ、それが畏敬の念に繋がるんだという内容の詞。あまり前例のない曲調だったのもあり、ミックスには一番時間を要した。結果これが正解!という所まで来れたと思う。

安全な人
「後半がストーナーロックになってる」とはRyo Hamamoto談。言われてめちゃ「確かに」となった。自分ではスローコアのつもりでした。楽曲の構成に特徴がある曲だけど、そこは常々僕が歌って来た「日常が突然、暴力的に変わってしまう怖さと必然さ」をバンドアレンジの落差で表現した事例となってるかと。長閑な春の日が、自然の脅威やなんやかんやでいきなり変貌してしまう、みたいなことです。

次回、B面に続く!